珍しい事に、サーキット場でのバイク事故が全国ニュースになりました。
 悲しい事にバイクに否定的な人が多いこの日本では、MotoGPでの死亡事故ですら数秒しか放映されず、アマチュアが一人死亡だと地方紙のちっちゃな欄にチョロッと載る程度でニュースにもならないのですが、さすがに7台転倒3人負傷2人死亡だとインパクトがありますね。



 亡くなったお二人はとても残念です。

 岡山国際は僕の選手生命を絶たれた事故現場でもあります。コワイコワイ
 ちなみにこのコースの最速レコードは、かのアイルトン・セナ様ですよ。
 1994年4月16日、F1ウィリアムズ・ルノーに乗ったセナが予選で1分10秒218をマークしています。
 1994年4月17日に開催されたF1パシフィックグランプリ(岡山)の次戦が、アイルトン・セナとローランド・ラッツェンバーガーが亡くなったサンマリノGPでした。
 アイルトン・セナ、ミハエル・シューマッハ、デーモン・ヒル、ミカ・ハッキネンにルーベンス・バリチェロ、片山右京と鈴木亜久里が一堂に会する熱いレースも、事実上この岡山が最後になりました。
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Circuit_okayama
 報道の映像を見ると、ここは岡山国際サーキットの「モスSコーナー」ですね。
 コースレイアウトの③の所です。
 S字コーナーでありながら見た通り緩やかなので、②を抜けたあと④の手前まで全開で走り抜ける危険個所です。
 ③や④のコース上のド真ん中にバイクが転がってるなんて事はよくあります。

 高速で走る割にセイフティーゾーンが狭く、バイクでの死亡事故多発区間。
 死亡事故が原因で2004年に大幅改修され、「TIサーキット英田」から「岡山国際サーキット」に改名しました。
 改修前のコースを走っていましたが、峠バリに路面が悪くてガタガタ&滑りやすく、舗装路と砂地の間にヤバい溝のような段差があり、全開区間なのにコースアウト=死亡か重症という酷い区間でした。
 モチロン、アクセル戻せば曲がれるので転倒率自体は低いんですが、無理した挙句に転倒したら死を覚悟しなければならないデスゾーン。
 何と表現したらいいのか言葉が思い浮かびませんが、センターラインのない狭い林道で、舗装してるところとしてない所に段差がありますよね。「ここにアスファルト乗せました。こっから先はしてなくて数センチ先は崖下です」みたいな舗装路と舗装してない所の明らかな段差。目測で5~10cm。
 このモスSは改修前、そんな状態だったんです。200km/hに迫る速度で1cmでもアスファルトを踏み外したら転倒するしかないようなヤバい道。数メートル先は壁。
 そこを全開で走らなきゃいけないんだからヤバ過ぎですよね。段差を見たら負けです。全開で走れないとタイムも出ません。
 でも、峠っぽいコースなので嫌いにはなれません。

 大幅改修によってモスS区間とピットロード入口の安全性向上を重点的に、滑りやすい路面も全面舗装し直してかなり良くなりましたが、モスSが依然死亡事故多発区間であることに変わりありません。

 僕が砕け散った1コーナー①と、90°近い左の下り二連コーナー⑥⑦も危険な難所です。

 今回の事故の原因は1台のマシンの(おそらくエンジンブローによる)オイル漏れで、後続車両が次々と転倒したそうです。
 映像を見るとオイル処理剤が撒かれた跡がありましたが(白い線はオイル処理剤です)、モロにレコードライン(一番速く走れるライン)上だったので、全開のタイムアタックしてる最中にこの狭いモスSのレコードラインにオイルがあったんじゃ避けようがありません。
 かなりのスピードで路面に叩きつけられ、目の前の壁まで一直線です。
 クッションでなんとか数か所の骨折で済んだとしても、痛みを感じる前に後続の転倒車両がとんでもないスピードで突っ込んできます。

 このコースをバイクで一度でも走った経験がある方は、亡くなった方が最後に見た光景を簡単に想像できる事でしょう。
 ・・・僕が選手生命を絶たれた事故の衝撃や痛みを思い出します。
 幸い、僕が転倒したのは1コーナーでセイフティーゾーンが広かったので何とか命拾いしました。

 おまけに、サーキット場を走った事がない方は意外に思われるかも知れませんが、ほとんどのサーキット場の救護室は学校の保健室と大差ありません
 医師がいない限り医療行為ができないので、見るからに骨折していても湿布貼るくらいしかできないのが現実です。
 痛い痛いと叫びながら・・・いや、本当に痛いと声なんて出ないんですよね・・・声にならない叫びを全力で上げながら救護室でレーシングスーツを脱がされた拷問のような時間は今でも忘れません。
 しかもそのあと全治半年の身体に湿布数枚張られただけです。
 さらに、この岡山国際サーキットは山奥にあるので、救急病院まで搬送されるのにかなり時間がかかります。記憶を無くして素っ頓狂な事を真顔で言ってる先輩と、指一本動かせない僕が一緒に病院に搬送されるまでの時間の長さといったら・・・( 一一)

 今回は大きな事故で2人も亡くなってしまったので全国ニュースになりましたが、似たような事故は毎週のようにどこかのサーキット場で起こり、毎月のように将来有望な選手が亡くなっている現実をぜひ知っておいて下さい。
 重傷を負ったチームメイトがその日一日の記憶を本気で失っていたり、さっきまでライバルとして意識していた知人が目の前で砕け散って白黒写真だけの存在になったりするのを目の当たりにすると、サーキット場より100倍危険な公道で速さを競い合っていた昔の自分をぶん殴ってやりたくなります。

 ぜひ最大限に安全に留意し、バイクライフを楽しんで下さい。
 公道にセイフティーゾーンなんてなく、数cm先は崖下です。
 ガードレールや、電柱を支えるワイヤーで身体が真っ二つになる事だってあるんですよ!
 申し訳程度に湿布貼ってくれるような施設もありません。



 ・・・でもこのコース、今でも目をつぶってイメージトレーニングできるくらい頭に叩き込んでます。
 たまには軽くでいいから走りたいなぁ・・・。
 と、思ってしまうのは、やっぱり頭のネジが数本飛んでるんでしょうかね(´・ω・`)

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