2015

 E90-93型共通の持病、セイフティシステム異常です。

 今年から、エアバッグの警告灯が点灯していると車検に通らなくなりました。
 コソッと裏口通過させてるダークな所なら通る事も無きにしも非ずですが、バレたら資格剥奪ですよ??
 ウチはちゃんと正々堂々と整備し、正門から胸を張って通過する・・・けど儲からない弱小車屋さんです。

 今回はコイツの原因と対策について。


考えられる原因その①:着座センサーの異常
 車のシートには「着座センサー」というものがあります。
 シートに人が座っているかどうかを判断する為のセンサーです。
 BMW E90型の場合、助手席に人が座っていなかったら、事故の際、助手席のエアバッグは開かないようになっています。
 ただこの着座センサーがフィルム状のヤワイ設計で、途中で断線したりする事がよくあるようで・・・。持病の一つとして超有名です。

 センサーの故障で助手席に人が座っているのかどうかワカラナイ → エラー警告灯を点灯

 というのがまず第一に疑う故障内容。
 着座センサーを真面目に全取っ換えした場合の修理費用・・・約6万円



考えられる原因その②:エアバッグECU(コンピュータ)の物理的故障
 「エアバッグってどうやって開くんだろう??」 と疑問に思った事はありませんか?
 実はエアバッグを開くかどうかを判断する専門のコンピューターが車内に搭載されています。
 分かりやすく比較するとだいたいタバコの箱くらいの大きさのアルミの箱です。
 隠されているので一般の方が目にする事はあまりありません。

 衝撃センサーが衝撃を検知! → 信号がエアバッグECUへ。 ↓
 その衝撃はエアバッグを開くべき衝撃なのか、それともそこらの壁や物に擦っただけなのかを判断。 ↓
 エアバッグを開くべき重大な衝撃だった場合、助手席も同時に開くべきかどうかを判断。 ↓
 エアバッグを展開! シートベルトも火薬やガスなどを使って強制的に引き上げ、シートに強く体を拘束させ、あえて鎖骨を骨折させて重大な衝撃を吸収し、鎖骨以外の部位へのケガを最低限に抑える。

 エアバッグECUは、エアバッグを開くかどうかを僅か0.015秒で判断しています。
 衝撃検知からエアバッグ展開完了まで0.04秒。瞬きの半分の時間だそうです。

 命に関わる重要な判断をしている専用コンピューターが、内部のハンダが割れたり経年劣化で電子部品が損壊していたりする事があります。

 この場合、エアバッグECUを交換しなければなりません。
 ディーラーに持ち込んだ時はこちらの可能性を指摘され、見積りも出してもらいました。
 エアバッグECUを交換する場合の修理費用・・・約10万円 |д゚)


 どっちにしても超痛い出費です。
 なんとかこの費用を最低限に抑えられないものか・・・・・・・・・。


 ドイツ車を主に専門に扱う修理工場に電話。
 (僕)「E90型のセイフティシステム異常なんですけど・・・」
 (専)「あぁ、定番だよね」
 (僕)「らしいですね。やっぱりまずは着座センサーですか? ウチはBMW専門の診断機は無くて・・・。スナップオンの診断機でエラーコード〇〇〇が出てるんですけど」
 (専)「その診断機じゃぁそこまでしか分からんだろうね。着座センサーのキャンセラーは1万円もしないから、まずはそれ付けてみたら? まぁ、直ればラッキーぐらいで。どっちにしてもいずれ絶対壊れるから」
 (僕)「なるほど。試してみます。で、直らなかったらコンピュータの交換になりますけど、そちらで〇〇〇〇できます??」
 (専)「もちろん」
 (僕)「ありがとうございます。じゃぁまずはキャンセラー入れてみます。ダメだったらまた連絡させていただきます。」

 上記会話に出てきた「キャンセラー」というのがコレ。
2017
 着座センサーキャンセラーとシートベルトエミュレーター。
 もちろん違法なものではありません。
 助手席に人が座ってるかどうかがワカラナイんだったら、座ってようが座ってなかろうが、「座ってる」と思わせればいい。事故に遭った時、運転手だけだったとしても助手席のエアバッグも開いたらいいじゃん?? というもの。
 もちろん、助手席に人が座ってると判断すれば、助手席のシートベルトしてねっていう警告音がなるので、これもシートベルトしていると判断させてしまいます。
 これにより、着座センサー交換修理6万円を、1万円に圧縮することができます。


 後部座席から助手席のシート下を覗いた写真。
2018
 一番手前の白・赤・茶色の銅線が着座センサーからコンピュータへ向かう線。
 着座センサーを外し、キャンセラーをカプラーオン。
2019

 これで常に人が座っていると判断させてしまいます。
 配線をイイ感じにまとめておきます。
2020


 今度は助手席シート下を前方から覗いた写真。
2021
 お目当てはこの黄色のカプラーの中身。

 黒いロックをスライドさせて・・・
2022

 カプラーをスポッと抜きます。
2023

 黄色のカプラーの中に、テトリスのように積まれたカプラーが。
 この右から二番目のL字型のカプラーがお目当て。
2024

 コイツのさらに左側二本。赤黒コードがシートベルトのセンサー。
2025

 スリットに針状の物を挿して端子を抜きます。
2026

 赤・黒の順番を間違えないようにシートベルトエミュレーターを差し込みます。
2027

 これで常にシートベルトをしていると判断させ、シートベルトの警告音が鳴らないように。
 もちろん、助手席に座る人には普段から必ずシートベルトをしてもらっています。ゴールド免許なので。
 コレを悪用しないようにしてくださいね。

 これもイイ感じに配線をまとめて元通りに。
2028


 スナップオンのコンピュータ診断機を接続。
2029
2030

 この診断機だけでン十万します・・・。
 でもほとんどの車種に使えるので、無いと仕事にならない事が多々あります。

 コンピュータのエラーコードをリセットして・・・



 2031

 ハイ、直りませんでした!! orz


 これで、このエラーの原因は着座センサーではなくコンピュータ自体の故障だという事が確定。
 ついでにサーモスタット故障という余計な情報も表示されました。


 ううっ・・・ 金が・・・ 金が飛んでゆく・・・


 エアバッグコンピュータは、買ってきて付けて終了ではありません。
 コンピュータの中に車種別の情報を入力するなど、専門的な機械と設定が必要です。
 ウチではそれができないので、修理業者に「出来ますか?」って聞いていたんです。


 色々やってたら車検が切れてしまいました。
 車載車で運ばないといけないうえ、エアバッグコンピュータと、サーモスタット交換という最悪の事態に、開いた口が塞がりません・・・。
 ( ゚Д゚)



↓ポチって頂けると大変励みになります(^_-)-☆ ↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ